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舞い込むものぞ?

 男は頷きもしなければ、首を横に振りもしないでいた。ただ真っ直ぐに前を向いていたのだが、重苦しい過去を語る口元を優しげに緩めることで、アスカの思いには応えていた。 「ふふん」  アスカは気分良く笑った。だからといって馬鹿馬鹿しさまでなくしたりはしない。それの五人が何をしたにしても、男が一人で孤独に戦い抜いたのは確かなことだ。ヌシも援軍には触れていたが、五人のことを話してはいなかった。五人が浅はかだったのだ。男が独りでも戦うと知れた時点で、負けを認めるべきだった。主君を変える道もあったのに、男への執着心から律儀に死を選んだ。そこに羨ましさを超えた馬鹿馬鹿しさを感じてならない。 「でもって、まさかの変異、けど、あいつらの頭ん中は昔のまんま、天下だけっう……」 「天下など結果」  だんまり好きな男も、天下については一家言あるのかもしれない。さっと素早く割り込んで、苛立つように続けていた。 「自ずと舞い込むものぞ」

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