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待ちなっての?

 アスカにはフジの気持ちが理解出来なくもない。男はアスカを利用してそれの五人を自らの意思で行くべきところへ行かせようとした。結果はお粗末なものだったが、その機会を与えはしたのだから不手際という程のこともない。むしろ闇にからかわれてばかりのフジには荷が重い仕事と言えた。としても蚊帳の外に置かれたのでは、男の代理人として面目丸潰れなのは確かだった。 「っうか……」  アスカは笑いまじりに思いもした。必死になって男を引っ張って行こうとするフジを激励するように眺めたことで、この状況がアスカにとっても好都合と気付けたのだ。茎と葉っぱだけになった悲惨な花達の蘇生が先とわかっているが、男を連れ去ってくれたのなら、男のせいで後回しにするしかなかった予定が進められる。そこで考えた。有能と評されるフジは万能でもあるはずだ。相談しがいもあるだろう。となればフジを呼び止めるのも、アスカには迷いなく出来た。 「待ちなっての」

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