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苛立ちに顔が?

「割と近い従兄弟に……」  今のこの時のフジには、男の代理人であるよりも、ムチ姫のしもべである方が重要なのだろう。感極まった口調で緩々と、しかもそこに怯えを浮かべ、有り得ないくらいの楽しさで話を継ぐ。 「得意な人がいるんだ、時代も変化したし、僕の勧めで商売にしたよ、代表の自宅はもちろん、ヌシさんのお屋敷やモンスターカフェも手掛けてる」  しもべを前にしてのアスカの行動は逃走一本だが、相談を持ち掛けた手前、逃げることは出来ない。この場に踏みとどまって耐えるしかないのだ。それでも逃げ道がない訳ではなかった。 「へぇ」  アスカは感心したように相槌を打ち、しもべについては徹頭徹尾、気のせいにした。その調子のままに話を振る。 「従兄弟っうと兄貴みてぇなもんか?あんたにもよ、兄貴面してたりしてな?」 「うん」  ところがフジらしい明るさで即座に返され、からかわれたようにも感じて、苛立ちに顔が引きつるのを止められないでいた。

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