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薄らとんかち?
「クソっ」
「うふっ」
そうしたアスカとフジの呟きは、ほぼ同時に響く。つまりフジがしもべ気分でアスカをからかったのは事実だったということだ。アスカが悲惨な花達の蘇生を相談した時点で、フジはそこに隠された思惑に気付いていた。しもべになることで、相談に乗る代わりに男を連れて行けるよう口添えして欲しいと頼んでいたのでもある。
「ただちょっと偏屈なんだ」
アスカの苛立ちを気にも掛けずに、のほほんと話して行くのを見てもわかることだ。それで男が気付かないはずもない。話の腰を折るような無粋な奴ではないにしても、腹立たしい思いを顔付きで語る程度の野暮ったさを見せている。それさえフジには計画のうちと言えるようで―――。
「モンスターカフェは身内だし、あっさりと受けてくれたけど、ヌシさんの方はけんもほろろでさ、名前を出しただけで、この薄らとんかちがって、怒鳴られちゃったよ」
フジは眩しい程の笑顔で明るく元気に続けていた。
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