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すぐに戻る?

 男には面白くない話なのだろう。美貌を台無しにする程に眉を吊り上げ、対決姿勢を鮮明にしてみせる。それが逆にアスカには愉快でならなかった。 「風に乗っちまったんだ」  アスカはにやりとし、茎と葉っぱだけになった花達を視線で示す。そしてこれが道理というように、男に向かって嫌みったらしく続けて行った。 「後始末もちゃんとしねぇとな、あんたのよ、男がすたるぜ」  そこでいい具合に前よりもやや大きめな地鳴りが周囲に響く。フジを真っ青にさせたくらいだ。だからこそというのか、男も引き下がるより他になかった。物に宿る精霊達のかしましい騒ぎであったのなら無視もしようが、滅多に意思を表さない地の精霊の加勢となると諦めるしか道はない。 「すぐに戻る」  男はアスカにそう返していた。と同時に、フジ諸共に麗しい姿が瞬時に消え失せていた。肉眼では捉えられないが、連れ去られたのがフジの方なのは、状況からしてアスカにもわかることではあった。

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