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風は自由奔放?

〝早う歩け〟 「うるせ」  小股になるしかないロングドレスはどうしても歩きにくい。それでいつものんびりと二十分程掛けて中心街へと歩いて行くのだが、聖霊のヤヘヱにわかるはずもないことだ。『人間外種対策警備』へも寄るというのに、自分第一にカフェへと急がせる。こうなると余計にゆっくりと歩きたくなるのがアスカだ。一歩進もうとしては足を引き、反対の足でも同じことをして、しつこく急き立てるヤヘヱをからかってやった。 〝にゃ、にゃにゅをしゅておりゅっ〟  小心者のくせに威張りたがりが見せた意地とでもいうのか、アスカの上役という必死な思いをだだ漏れさせて、ヤヘヱが怪しい口調で叫び出す。それをアスカは面白がり、からかいついでに笑い飛ばした。 「だはははっ」  気分は最高だった。そう思えた。しかし、ヤヘヱの叫びに乗って吹き付けた風のちょっかいに、むかつきが戻って来る。 「クソっ」  風は自由奔放だ。アスカの腹立ちにも好きに振る舞う。

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