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アスカと同類?

 遠くからでも、整った顔立ちの好青年であるのがアスカには見えていた。まだ少し少年臭さを残しているが、多少の世間慣れもしていそうな顔付きから、二つ三つ年上なのがわかる。色褪せたパーカーに所々擦り切れた細身のデニムパンツ、履き古した白スニーカーという服装からして、『人間外種対策警備』の入り口に立つ理由が仕事であるはずはない。モンスターと揉めたとも考えられるが、それにしては穏やかだった。暇な大学生が人影もまばらな平日を選んで観光に来たといったところに映る。 「っても……」  アスカが近付くに従い、こちらへと向けられる青年の顔に安堵するような弱々しさが浮かぶのを見て、思い直した。不気味と感じたものが緊張から来る不安とするのなら、アスカにも悩むまでもなく答えが知れる。 「こいつ……」  青年は能力者だ。しかもアスカと同類の『霊媒』だった。道理で精霊達が騒ぎ立てずに静かにしていた訳と、アスカは納得して思うのだった。

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