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状況にはぴったり?

 青年が客というのは大したことではない。わざわざ足を運んで来たのが驚異なことなのだ。『人間外種対策警備』にとって何かしらの意義を持ち、だからこそリンも青年を追い掛けるようにして外に出て来たとわかる。それでは顔に貼り付けた微笑みを崩せはしない。憎き恋敵やヴァンパイアを目にしたとしても、怒りに任せず、事の発端を見極めるのが先となる。 「うーん」  小さく唸ったアスカの頭にあるのは、ヴァンパイアと人狼の確執だった。悠久を生き抜くヌシとアルファに起因するせいか、両種の不仲は末端にまで及んでいる。リンがフジを慕うという異様さこそが、時代の変化がもたらした怪異でもあるのだ。それが理由でリンには未だ瞳に成人を象徴する黄色みが現れないでいる。 〝時代の変化は……〟  それをアルファが野太い声で緩やかに話していたのを思い出す。その台詞が今のこの状況にはぴったりにも思えた。 〝越えてはならない種族の壁をないものにしたからね〟

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