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男には無視?
「ぐぐっっ」
全ては夢だ。真っ暗闇も不明瞭な喋りも体の拘束も、時間と空間の隙間に映された女の記憶が見せる幻想と、アスカは無理にもそう思おうとした。しかし、鼻をくすぐるいい匂いもして、心が乱される。その匂いはすこぶる現実的で、清廉でありながらも官能さを感じさせる。兎に角、高潔な中にも繊細で妖しい色気を思わせたのだ。それで気持ちが揺すられたからだろう。無神経にもアソコが出張り始めた。
「……っぐ!」
裏切り者のアソコが反応したがる相手は一人しかいない。闇を払って光を差し込むまでもなくわかることだ。悔しいが、男の稀に見る美貌がアスカの脳裏を占拠した。女なら夢で片付くことも、男は現実で追い遣ろうにも追い遣れない。艶っぽい匂いが強烈に響く。
「うぐっ!」
それでもアスカは負けずに頑張った。男と一緒にアソコをも委縮させようと、精一杯に怒鳴り続けた。
「ぐぐっ!」
意味不明な掠れ声のせいか、男には無視されてしまった。
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