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空中高くに?

「うぐっ!ぐぐっ!」  アスカが必死に繰り返したことで、アソコには事の重大さが理解出来たようだ。何だかんだ言っても可愛い奴であり、危殆に瀕した時にはわかり合えるということだ。裏切る上に恥をかかせもするが、ぴくりぴくりし始めていたのをすんなりと収めてくれていた。そうした可愛さが男にはない。〝クソ!放しやがれ!〟と威勢良く繰り返してみても、悠揚たる態度で平然と聞き捨てられてしまっている。というより、最初から聞く気がないのだろう。連なる叫びをたった一言で退けたのからして、全くもって正しく思えた。 「騒ぐな」 「うぅっ!ぐっ!」  すぐさま〝知るか!ボケ!〟と怒鳴ったつもりが、男には伝わらない。それでも多少の譲歩を示すように、こう返して来た。 「気付かれる」 「う……うっ?」  気付かれる?誰に?と、そう思って聞き返した時、アスカはやっと自分が今どこにいるのかを知った。男の片手一つに支えられ、空中高くにいたのだった。

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