税制優遇は有名な話だが、居住区の全面解放が囁かれ始めた頃から、積極的な生産活動への支援金も支給され始めていた。恐怖のモンスターを法律でがんじがらめにし、おとなしくさせようという訳だが、それも時代の変化が人間に合わせて起こされたものである為に可能となる。幾らも強者になれるはずのモンスターが、人間の定めた法律のもとで弱者に落ちたのだ。それを男はヴァンパイアらしくこう表現した。 「敢えて従ったというに……」 　ヌシの意向によるとしても、モンスターの殆どが金銭に興味のない自由奔放な化け物だ。法律で縛ろうが、人間であった過去を持つモンスターにしか効力は生じない。笑えることに、不動産会社の代表に納まるヴァンパイアや、成果を上げて順調に成長する『人間外種対策警備』の人狼には多大な負荷となっている。優遇撤廃といった人間の思惑も達成されつつあり、青年の身内である子孫はそこに目を付け、絡んで来ていたと言えるようだ。