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夢に〝浸る〟?
「ふんっ」
アスカは突き放すような気分で鼻を鳴らした。男が共感を求めていたのはわかっている。完璧な無表情も、それを僅かに崩すことで見せた皮肉めいた微笑みも、全ては男の憤怒から来ていることだ。そこに同情を誘うといった小賢しさがないだけに、アスカにも男が自分を通して女ならそうしてみせたはずの理解に浸ろうとしたのが見えてしまう。その為にわざわざ空中高く拉致したとは思わないが、変態屋敷を建てた理由に至れば、如何にもという気がしなくはなかった。
それでも男の本音にかかわらず、モンスター居住区の住人として完全解放についての事案に関心はあった。占いを生業とする『霊媒』に観光事業は金のなる木だ。本物のモンスターを売りにした娯楽にちょいと興を添える程度でも、恩恵にあずかれる。
「へへっ」
しかし、この守銭奴じみた笑いが取らぬ狸の皮算用であるのは、男を真似て札束に埋もれる夢に〝浸る〟アスカに気付けることではなかった。
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