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伝説ともなった?

「マジか?」  思わずアスカは男を見上げ、声高に呟いていた。金鉱脈はあの怪しげな山の奥深く、闇の領域のど真ん中と、男はそう続けていたのだ。書物についても、女を庇ってのことなのか、誰に読ませるものでもなしと、そこは楽しげに言葉にしていた。アスカにすれば、ぼかしもせずに詳細に記述したことこそが、無知で愚行となるのだが、男の立場では逆になる。そうした違いの程度には、欲に駆られて領地奪還を悲願とした青年の先祖の方が、幾分まともに思えてならない。  それでもお陰で腑に落ちたことがあった。青年の先祖は商才に優れていたというが、それだけで子孫と公言していいくらいに、男にも金儲けの才がある。モンスター達を悠々と守れたのは才能あってのことなのだ。それも男は領主の責務と軽く返して来るだろう。その信念を腐すつもりはない。天下人の名を冠する時代に始まり、伝説ともなった財宝について、あれこれ思うのに忙しかったからでもある。

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