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男に語らせる?

「仮の話なんだけどよ」  相手は何かと秘密にしたがるヴァンパイアでもある。はぐらかされないよう遠回しに聞くしかないのだが、仮定の話としても、精霊に聞かせれば厄介というのは確かなことだ。双方共に和ませるといった兼ね合いが難しいところではあるが、精霊に気付かれないよう小声にしても無駄であるのなら、アスカとしては男の気を引く方に重点を置くより他ないことになる。 「子孫って奴らにさ、クソったれな山一つ、丸っと売ってみるっうか……」  剝れた精霊を甘く見てはならないが、それでも暫くすれば機嫌を直すのも事実だった。おべっかを使えば楽勝で、それさえ気にしないのなら、男の本音が引き出せる。その機会を逃したくなかった。 「てか、会うくれぇ、してやったらどうよ?」  男には有能な代理人のフジがいる。交渉の場に赴いても失敗はしない。アスカはそこをわざとらしく刺激して、青年へと嫌悪の眼差しを向けた理由を男に語らせるつもりでいた。

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