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思い当たることが?
「いけ好かない奴らってもさ」
青年の身内である子孫の執着が黄金にあることは、男の話で明確に理解したことではある。ところが青年へと向けた嫌悪となると、どうにも要領を得ず、何かしらの糸口さえアスカには掴めないでいる。
「あんたには無表情っう必殺技があんだしよ、なら、勝ちに行けんじゃねぇの?けど、あんた、なんでか、下のあいつにもしてねぇし……」
ここから先はそちらの領分と、仄めかすように続けたアスカが、男には面白かったのかもしれない。不意に表情に明るさを見せ、妙に楽しげな視線でアスカを見遣った。
「君が……」
この時までは間違いなく、男は自ら語った話に苛立ち、皮肉めいた微笑みで青年の身内である子孫を嘲っていた。それなのに軽快にも響く口調でこう返して来たのだ。
「……為になしたこと」
「おっ……れ?」
余りに意外な返答に、返す言葉が見付からない。アスカはむすっとするばかりだが、思い当たることがない訳ではなかった。
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