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染めて続けた?

「お……っ」  空中高くアスカを運び上げたのは、男によると、眼前に青年がいたからとなる。直前に青年へと嫌悪の眼差しを向けた訳だが、その理由が〝君が為〟というのでは、からかわれたようでどうにも気に食わない。それでも男の言い分に嘘がないのは、アスカも理解することではあった。 「……れか?」  そう繰り返しながら、アスカの思いは精霊が意識内で聞かせた過去へと向かった。そして思いが行き着いた先は、男が初対面で何をしたのかについてだった。男はさりげなくアスカの目を覗き込んでいたが、フジにもそれをしたような気がする。フジの前世からして、男がどうしようもなくフジを亜種にしたことで確かと気付く。その伝でいうのなら、男の嫌悪が何であるのかも自ずと知れる。 「君の……」  一瞬、男もアスカを真似て繰り返すのかに思えたが、そこは単に言いにくいだけのようだった。頬の辺りをほんの微かに、優雅な色合いに染めて続けたのを見てもわかる。

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