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中心に自分を?

「君の……」  男は声音にも艶めいた恥じらいを乗せて、それでいて朴訥とした調子に言葉を繋げた。 「傍らに寄せてはならぬ」 「か……か?」  そういえばとアスカは思った。地上には青年以外にリンがいた。アルファの所在を確認しようとリンに向けて叫びもしたが、男の恥じらいや朴訥がそこに起因するはずもない。嫌悪は別の意味からそれとなくでも理解した。しかし、恥じらい?朴訥?―――アスカには訳がわからなかった。 「……たわら?」  自分が間抜けに思えてならないが、何を問えばいいのかが見えて来ないのだから、仕方がない。馬鹿みたいに男の言葉を繰り返すのも、考えをまとめようと思ってのことだった。 「うーん」  ついでに唸ってもみたが、知り得た事実だけが脳裏を巡る。それでアスカは男とアルファ、そして青年を思い、中心に自分を据えた。際立つのはやはり男とアルファの関係だが、そうなると忘れてならないのが胸の奥深くに宿る女ということにもなる。

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