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悲し過ぎる場所?
特殊能力が人間にしか効かないように、その能力も人間だけに現れる。それもあってモンスター居住区に移住した能力者達は、ことごとく能力が活かせる『人間外種対策警備』を居場所とした。要するに自然界の枠内では能力者もただの人間ということだ。人間であるのなら莫大な黄金を前にしては欲が出る。男はそれを無知たる故の愚行と嘲ったが、お陰でアスカを呼び付ける程にヌシをやきもきさせたのは間違いない。そしてそこに前世まで絡んで来ている。
「ったくよ」
前世はまさに霊媒の独壇場だが、モンスター相手では特に無意味な能力だった。ヴァンパイアや人狼といった元が人間であっても同じことだ。人間には前世があって来世がある。過去の死の上に今生があり、未来を築く。今を生きる霊媒がその能力でもって人間の前世と今生を繋ぐのだが、ヴァンパイアや人狼には今生しかない。死後に行き着く先もまったき闇で、未来を築くには悲し過ぎる場所とも言えていた。
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