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その衝撃に?

「ぐぇっっ」  吐かなかったのが幸いに思えた。それ程の気持ち悪さに足がふらつく。それを支えようと、アスカは壁に手を付け、身を屈めるようにして次なるえずきに備えた。 「ぐぇっ」  何故そこに壁があるのかはどうでもいいことだ。壁は壁、本物であればそれで十分だった。またも予告なしに瞬間移動で運ばれたこと、多少は慣れたと甘く思っていたこと、この二点以外は頭にない。今のこの時点でのアスカの関心は、そこにいるはずの男だけにあるということだ。気持ち悪さにふらつこうが、近くに立つ人らしき気配にしか思いは向かない。 「て……めっ」  気配にいつもと違う匂いを感じたとしても、そうした感覚は瞬間移動から来る心理的な弱さと切り捨てた。胃の具合を確かめつつ顔を上げ、好意とは真逆の悪意ある目付きで睨み付けてやる。ところが洒落たスリーピーススーツと対峙するはずが、モーニング姿の山男と対面し、その衝撃にアスカの顔がなす術もなく固まった。

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