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言いようがない?

 掃除中とでもいうのか、山男ははたきを手に持ち、その巨体を猫背気味に丸めて立っていた。身綺麗にはしているが爽やかさを感じさせず、不潔と行かないまでもアスカが理想とするボサボサ感に溢れている。そういった風貌が、期せずして対面することになった山男の素性をアスカに気付かせる。ヤヘヱとフジの歓談を思うのなら、自然と見えてしまうことではあった。 〝むさ苦しくあるなれど、忠義者ぞ〟  そう評したヤヘヱに、フジはこう返していた。 〝毛深いからもっさりして見えるけど、もふもふだし、お風呂嫌いというのは困りものだけど、それだって代表に注意されたらきちんと入るしね〟  山男並みのヒゲボーボーを理想とするアスカには、二人の会話こそが最高に思えた。モンスターカフェにおける美丈夫さが異常なのだ。忠義者の風呂嫌いは頂けないが、もふもふなむさ苦しさは正義としか言いようがない。そうした本物を前にしたのだ。衝撃に顔も固まるというものだ。

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