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どこかな?
「ひっひっひ」
アスカは唇をきゅっと引き上げて、無理にも笑ってみせながら、引きつる唇の端から声まで出して宥めに掛かった。女扱いが気のせいだとしても、何かしらの誤解があるのに思い違いはない。しかし、それを解こうとしての行動も、心にもなく笑ったことで、余計に怯えさせた感がある。
「ひひっ」
表情に男への怒りが残されていたのかもしれない。傍若無人な瞬間移動には恨み骨髄なのだ。仕方がない。としても、さらに瞳を潤ませるナギラを見ると、子供を相手にしているようで気が引けた。
モンスター達の年齢はわかりにくいものだ。ナギラも見た目で判断するのなら、アルバイト風山男にはオヤジとなり、ムチ姫のしもべである変態案内係にはアニキといったところに映る。風呂嫌いがしっくり来るような中年ということだが、中身は異なるようだ。それでアスカはナギラを怯えさせないよう、精一杯の優しさで問い掛けてみることにした。
「ここは、どこかな?」
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