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それを認める?
「てか、あんた……」
目の前の山男が誰であるのかは、アスカには今更のことだ。それよりも憧れには憧れのままでいてもらいたい。中年男のむさ苦しさを出して欲しい。その思いでアスカはぶっきら棒にずばりと続けた。
「ナギラ、だろ」
挨拶が遅れたことへの謝罪にも、男が悪いと答えるつもりでいたが、ナギラの感に入った返しに遮られ、言葉に詰まる。
「おおっ、我が名をお呼びに!」
ナギラは破顔一笑し、弾むような調子で話を継いでいた。
「人の生き死ににおける機微なる理のなせる業か、こうして再び御台様にまみえましたこと……」
そこでナギラの瞳がまたも怯えたように―――アスカにはそう思いたいくらいの勢いで潤み始める。そして潤む瞳を煌めかせ、さらなる怯えに―――しつこくそう思いたいくらいに声を震わせ、こう言葉を繋げていた。
「興奮至極にてございます」
ナギラの怯えはアスカの幻想だ。それを認めるのに、今少しの時間がアスカには必要だった。
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