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交互に見遣り?
〝たわけが〟
口調もだが、腕時計にへばり付く煌めき具合からして、ヤヘヱが威張り腐った調子にふんぞり返っているのがアスカにはわかる。腹立たしげにきつく睨んでみせようが、喋りをやめないことにもだ。
〝この屋敷に住まうをどなたと心得おるか、うぬが脅しなど、はったりにもならぬわ〟
「うるせっ」
思わず腕時計に向かって声を張り上げたアスカだが、ヤヘヱの言い分には納得もした。ここは男の陣地だ。敵陣と言い換えてもいい。その敵兵の一人であるナギラに喧嘩を吹っ掛けたところで、勝てる見込みは薄い。御台と呼ばれたことに殊更強く反応するのも藪蛇という訳だ。ヤヘヱに指摘されたのにはむかつくが、そこはアスカも頷くしかない。
「てかさ」
だからといって感謝する気もなかった。その思いが口調に出ていようが素知らぬふりでさらりと続ける。
「俺、帰りたいんだけど」
そのままヤヘヱとナギラを交互に見遣り、優しさの欠片もない笑顔で話をして行った。
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