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頭を深々と?
挨拶に行かされたこと自体に恨みはない。母親中心で回っている家族だ。そこは仕方がないと諦めている。気のいい二人との遣り取りが固く閉ざされたドア越しだったことにも恨みはない。フジには既に謝罪をされている。むしろ同じことをナギラにされるのが、アスカには煩わしく思えてならないのだ。それがナギラにはわからないようだった。〝通い?住み込み?〟と繰り返されたことに誘発されたかのように、アスカの重苦しげな表情へと、心持ち恐縮した様子で言葉を返して来た。
「その節は……」
フジのようにあっけらかんと行かないだけに、気に病んでいたのかもしれない。従僕を例に、以前はフジ共々に男と同居していたのを悟らせた喋りにも、そうした心の揺れが滲んでいた。
「ご領主様より止められておりましたとはいえ、不義なる所業、誠に申し訳なく存じております」
そしてナギラは頭を深々と下げていた。そうまでされてはアスカも煩わしいと突き放せはしない。
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