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瞬時にそこへと?

「うぅ……っ」  それでもアスカは素直になれないでいた。もっともらしい言葉を返しもすれば、先には近所付き合いという泥沼が待ち構えている。 「っ……っ」  フジはそれを〝町内会〟と表現した。忌避したいアスカとしては、馴れ合ってはならないことになる。それでアスカは唸りながら頷くといった傲岸不遜な態度をしてみせた。ところがナギラの目には少しも傲慢に映らなかったようだ。 「ご容赦賜りましたこと、大変嬉しく存じます」  さすが杓子定規な男に仕えるだけはある。堅苦しい台詞で受け流し、静々と頭を上げていた。その後はにこやかに笑って、懐から漆塗りの小箱を取り出し、モンスターカフェの案内係がしたようにアスカの側へと置いていた。要するにヤヘヱの席が用意されたのだ。同時にヤヘヱを酔わせるアレの為でもあるのだと認識させられる。 「おいおい」  白絹の上に載る腕時計にもだが、ヤヘヱが瞬時にそこへと移動したことが、アスカを呆れさせていた。

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