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でもってアスカに?
「まっ、クソガキはよ、用がありゃ野郎のこと、呼び付けてっからな」
アスカにヌシを庇う気はない。ただ男の方も意固地過ぎる気がしてならないのだ。変異は自ら望んですることだ。変異後に感情を弄ばれようが自業自得となり、完璧な無表情もその為にある。とするのなら、わざわざヌシを刺激して何になると、アスカはそう思いながら言葉を繋げた。
「家なんて、クソガキにしたら、好きにしろってとこさ」
とはいっても、深奥にして神聖な森の中央部となると、さすがにヌシも放ってはおけない。男の屋敷を訪れることはないにしても、仮にその日が来たとして考えた時、どうなるのか、男は招き入れるだけだが、ヌシ自身は自然界の精霊に気を使う必要が出て来る。ヌシの気分を推測するに嫌がらせも当然で、それで糧を差し向けたとわかる。糧は普通の人間だ。人間がすることに、自然界の精霊は不干渉でいる。
「だろ?」
ナギラは微笑みでもってアスカにその答えを示した。
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