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ヤヘヱがびびった?

〝大丈夫?〟  青年はそう声を掛けて来た。逆にアスカを警戒させるとも知らずにだ。全てが計算ずくではなかったとしても、青年の甘く優しい響きの言い慣れた様子に、機会を逃すような間抜けでないのは、うぶで疎いアスカにも理解出来ることだ。それに霊媒の能力に自信があるとするのなら、前世における自らの立場をも把握していることになる。 「で……」  青年がアルファを訪ねた。となると男の出番だ。アスカは視線をヤヘヱから男へと移しながら言葉を繋げた。 「アルファがあんたと話したいって?」  男は頷くことしかしないでいたが、アスカの問いに答えたことにはなる。ヤヘヱもひくしかなかったようで、跳ね散らかせていた光の粒を収め、微細な煌めきを残して丸まった。その撤収がアスカには仰々しく思えたが、視界の先に森の出口を示すような光の点滅を見たことで、単にヤヘヱがびびっただけと知る。アスカには光の点滅が自然界の精霊によるものとわかるからだ。

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