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限度がある?
「クソガキにしたらさ」
やんわりと男の話に同調し、それでも頭では別のことを思って言葉を返す。男にすれば謀叛を起こしただけでなく、最愛の女まで死に至らしめた家臣が、子孫を名乗る末席の家系に転生し、しかも霊媒として面前に現れたのだ。プンスカしたくもなるだろう。そうした男への僅かな憐憫と自分への多大な哀れみを胸に、アスカは話をして行く。
「万々歳だしな、あんたを苦しませられんのなら、引っ掻き回すに決まってる、あいつ、マジ、クソ面倒なガキだしよ、俺のことだって、最低最悪な形で巻き込ませっぞ」
自分を哀れんだせいなのか、ここで急にアスカは子供のように抱きかかえられた今の姿が気になり始めた。
「で、ハブってやろうってのは正解なんじゃね」
そう続けたあと、地面に下ろせと指示するつもりで男の腕をつついてみせた。待ち合わせ場所が怪しい山の頂上というので我慢もしたが、アルファを前にしては子供扱いされるのにも限度がある。
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