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気分にゃなれねぇ?
「うむ、まぁ……」
〝クソったれ〟が効いたのか、男が諦めたようにそう返して来た。何が起きたのかを理解する以前に、むかつくアスカが相手では、男のプンスカも負けるしかないようだ。男は媚びたに近いような調子で、仕方なさげに答えていた。
「家臣が……あやつが現れ、アルファをかかわらせたが為のこと」
「けど、霊媒っうのは人間だぜ」
アスカはふんと鼻を鳴らしてから、常識を語るような物々しさで言葉を繋ぐ。
「能力者ってもだ、モンスターにゃ使えねぇんだし、ヴァンパイアと人狼の不仲を考えりゃ、あんたとアルファの繋がりなんて知れる訳がねぇ、アルファに会いに来たのだってよ、モンスター居住区に移住する前の事前調査ってとこだったのかもよ」
霊媒ともなれば、青年には『人間外種登録変更制度』を利用する権利がある。予め知識を得たいと思うのも普通のことだ。
「まっ、野郎の前世がアレなんだ、あんたら二人とも歓迎なんて気分にゃなれねぇわな」
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