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興味は薄い?

 青年の前世である家臣とアルファとのあいだには、直接的な繋がりはない。当時、男の変異を可能にした愛を象徴する女がいてこその繋がりだ。その女を家臣が手に掛けた。女を巡って未だ男とバトルをするようなアルファだ。おいそれと青年を受け入れられはしないだろう。それもアスカの誕生がなかったのならという気がしないではない。  アスカはこの世で唯一、精霊の声が聞ける能力者として、さらには因縁深い女の魂を胸の奥深くに潜ませた状態で生まれ落ちた。能力者としては、モンスター達が〝落ちこぼれの用なし〟にすることで安寧を図った程に脅威な存在となるのだが、女の魂から見るのなら、男とアルファを争わせる罪作りな存在でしかない。つまり二人には胸の奥深くに潜む女の魂―――前世が重要で、アスカ自身への興味は薄いといった判断が許される。そうした意味での密談に思えてならない。 「ったくよ」  アスカにすれば、むかつかずにいられない話ではある。

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