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どうしているのか?
「けど……」
異常な程のヌシの愛を、責めるつもりがアスカにはなかった。姿形がどう変わろうとも、ヌシは弟の魂が救われるのならと、獣にすると言葉に示したチヲカテトスルモノに頷いた。ヌシが選んだことであり、責任もヌシにある。純粋であれば感情の善悪を問わないチヲカテトスルモノが寄生先にしたのも当然と、そう思えるだけのことだった。
そこまでして救った弟に、男の子孫を名乗る一族の青年が、しかも相当優秀な霊媒でもある人間が近付いた。ヌシの怒りの程度となると、知りたくもないことではある。
それも青年の一族が、男を相手に、モンスター居住区解放に絡んで金鉱山奪取を企てたのが悪い。反対派支援者の娘の行方不明にしても、考えが甘過ぎる。もっとも娘に憑依した小姓五人にあっさり救い出されると、誰に気付けたというのだろう。偶然の重なり合いを予測するのは不可能だ。
「てか……」
五人はどうしているのか、アスカは今になって気になった。
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