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アホたれ五人組?
「うーん」
思い出してしまったからだろう。あの五人のことが、どうにもアスカの頭から離れないでいる。男が小姓にしたくらいだ。当時は選り抜きの者達だったとわかるが、そこに生じた忠誠心が彼らに男の蘇りを信じさせ、魂を一つにして眠りにつかせた。
その五人も現代なら中学か高校といった年頃だ。大人びていても、まだまだ子供に近い。監禁されていた娘の朦朧とした意識に男を感じ、目覚めたと言いながら、アスカにどやされると、すごすごと逃げて行った。胸の奥深くに宿る女に委縮した気がしないでもない。それもあってアスカは心のうちでこう呟くのだった。
「マジ、アホだろ」
〝うふふっ〟
その時、ふと胸に慈愛じみた笑いが広がった。五人を思う時、馬鹿馬鹿しさはあっても、笑いの要素は全くない。慈愛となると塵芥の世界だ。アホたれ五人組の思いも同じようなものだったのかもしれない。誰の笑いなのかが明らかであるからには、尚のこと無視したくなる。
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