849 / 962

好きにすれば?

 二人がアスカに求めるものは、アスカ本人ではない。見た目どころか性別からして違うというのに、二人はその目に女を映す。アスカに女を投影することで、二人だけの熱い世界に刺激をもたらし、親密で過激な興奮も増すという訳だ。熾烈に見詰め合う二人の眼差しが、アスカにそう思わせてならないでいた。 「ふざけやがって」  苛立ちがそのまま言葉になって口に出た。というのも、アスカはまさにふざけた頼み事を女にされていた。と同時に、この状況がその頼みを果たす絶好の機会だとも気付けた。 「てか……」  むかつく二人だが気持ちを抑え、それでも多少の嫌みを込めて言葉を繋ぐ。 「女の方はさばさばしてっぞ、鬱陶しいって感じかもよ、あんたらのイチャつく理由にゃされたくねぇってな」  これで女の願いは伝えた。あとは男とアルファで決めることだ。仲良くするも、熱い世界に浸るも、好きにすればいい。伝えはしたのだから、アスカにはもう関係しないことになる。

ともだちにシェアしよう!