857 / 962

何がおかしい?

〝僕を途方に暮れさせるなんて、興味をいだかせてならないですよ〟  精霊に守られるアスカはモンスター達と同じような存在だ。つまり人間の能力者のその能力を無効化してしまう。青年が感じた疑問の答えもそこにある。優秀さを鼻に掛けているのだ。既に気付いている気がしないでもない。 〝だからでしょう、こちらに来る途中にも、五人の魂を一つに溶け合わせたような奇異な死者との不思議な出会いがありまして……〟  モンスター居住区の境界に差し掛かった時のことだそうだ。対向車線を走る車内に五人の死者の意識を捉えたと、真面目腐った口調で経緯を聞かせる。 〝その五人、後部座席に座る女子に憑依していましたからね、すれ違った拍子に引き剝がしてやりました、彼らも最初は戸惑っていたのですが、僕を霊媒と認識するとすぐに青くなっていましたよ、ですから、問い質してみたのですが……〟  何がおかしいのか、そこで青年の口調が笑うような調子になっていた。

ともだちにシェアしよう!