〝なのに彼ら……〟 　青年の笑うような口調に表されるものは、大いなる自信と絶対的な誇りだ。わざとらしく言葉を途切らせたのも、そうした事実を見せ付けようとしてのことに、アスカには思えた。 〝……突っ掛かって来るばかりで、何も答えてくれなかった〟 　アルファの反応を引き出したくもあるのだろう。甘ったるい声音には誘うような響きも感じさせる。 〝仕方ないので、最期の慈悲にと五人まとめて送ってやりました、ですが、楽に行かせたりはしません、痛め付けてからにしましたよ、なので転生するとなると、相当の年月を要するでしょ……〟 　不意に、甘ったるい声音がすっと消えた。アスカの意識も現実と繋がり合うのだが、奇妙なことに、青年の声音を聞きつつも、時間が支障なく流れていたのに気付かされる。ただし身体は精霊によって固められていたようだ。そこはむかつくが、男とアルファの別段変わりない様子に、アスカもそのままじっとしていることにした。