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仲良く馬鹿に?
「っうのに……」
アスカは続けてつらつら思っていた。高校卒業間近になり、この先の人生に悩むアスカにモンスター居住区への移住を勧めてくれたのも、精霊達だ。モンスターの策略で〝落ちこぼれの用なし〟にされはしたが、精霊達のろくでもない噂をもとにした占い稼業は、本物の魔女と評判になるくらいに、そこそこ順調に商えている。
「てか……」
余りの騒がしさに怒鳴り付けようが、精霊達は意に介さない。さらに熱くなって噂し始める。聞き流しはそうした日々の中で身に付けたものだ。同時に独り言を呟く癖も付いた訳だが、アルファが推測したように、聞き流せなくなった時に叫ぼうが、おかしな奴と思われずにも済んだ。それは感謝に心労を混ぜ込み、特権という甘みを加えたのち、やや薄めな苛立ちへと変化した感情が引き寄せた幸運と言える。男とアルファが二人だけの熱い世界に浸るかのように、口調はそれぞれだが、仲良く馬鹿にしていいことではないのだ。
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