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鷹揚に頷いて?

 アスカには冗談としか思えない台詞でも、同時に見せた微笑みが男を饒舌にしたのは理解することだ。男は問題ないと口にしたその理由を―――青年の肉体における今生での年月に変更はなく、魂の居場所を変えるだけといった内容を、うっとりと聞き入りたくなるくらいの美声ですらすらと淀みなく語った。 「だが……」  そして最後は殿様気質丸出しでこう続けた。 「我らには踏み込めぬ領域ぞ、精霊の覚えめでたき君にのみ許されておる故に」  〝落ちこぼれの用なし〟と呼ばれるように、能力の殆どを知らずにいるアスカにはぴんと来ない話だが、アルファが可愛らしい仕草でうんうんと、男を後押しするように何度も頷くのを目にして、はたと気付けたことがあった。とはいえ、自ら率先して二人に聞かせたい話ではなかった。 「うーん」  アスカが考え込むように唸ったせいか、取り敢えずの了解が得られたと思わせたようだ。男は微笑みをさらに広げて、鷹揚に頷いてみせていた。

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