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口調に反して?

 アスカにすればヌシの台詞はまさに、こまっしゃくれたクソガキのそれだった。あの時は玩具どころか相当のぼせていると感じたものだが、アルファとの関係を知った今では、そこに恋愛的要素がないのも理解することだ。ヌシがその瞳に映すのは、弟の魂を持つアルファただ一人、男は愛による変異の行く末を探る為の実験動物でしかなかった。薄々気付いていたが、〝キイは僕のもの〟という台詞も、そう捉えた方がしっくり来る。 「うふふっ」  そうしたアスカの考えを読み取ったかのように、ヌシの笑いが意味深なものへと変わった。それでついアスカは緊張気味にごくりと唾を飲み込んだ。男が付けたキスマークに守られているとしても、気を緩めてはならない。早急にお引き取り頂く。その思いに気持ちを落ち着かせ、声音もしっかりさせて言葉を返した。 「アルファ、か?」 「うん、だね」  十代半ばの見た目に沿った口調に反して、ヌシは大人びた雰囲気で静々と頷いていた。

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