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簡単でしょ?

「そんな気がしてたんだ」  そう軽く続けたヌシだが、大人びた雰囲気を見せたのからして、精霊の溜まり場のような別荘で、彼らのことを話すとなると、さすがに気を使うようではある。本音では精霊のクソどもと言いたいに違いない。それを我慢しているのが、アスカにはわかってしまう。ヌシに同調したくはないのだが、同じ思いなのでは仕方がない。 「昔のこと……」  ヌシは精霊がとは口にせず、彼らによってアスカが知ったその内容も、一言にまとめて話をして行く。 「きっと見せてるなってね、あの子だって……」  〝あの子〟がアルファを指しているのは言わずもがなだが、男と等しく渡り合える肉の塊を〝あの子〟呼ばわりとは、何ともおかしな話にアスカには思えた。とはいえ、ヌシが言ったことにははっとし、驚きを隠せないでいた。 「……わかってたさ」 「わかって……た?」 「っていうか、望んでたな、話すより簡単でしょ、精霊のお節介に期待したってところだね」

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