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ヌシは続けた?

「俺とはさ……」  アスカにすれば恥辱と言えるものだった。しかし、可憐な横顔に天敵であるムチ姫の元絵が浮かび、そこに笑顔を振りまく姉妹を思い、答えが見出せたのだ。だからといって姉妹と言える訳もなく、アスカは仕方なさげにこう言葉を繋いだ。 「……義兄弟、みてぇなもん?」 「えっ?義って……僕と?本気なの?」  ヌシは続けざまに答えたあと、晴れやかに笑った。アスカには全くもって面白くないことだが、悪意を感じさせない爽やかな響きに負けて、溜め息しか出ない。 「お兄さんが僕を弟にっていうのなら……」  誰もそこまで言っていないと叫びたいのも、我慢した。自然界の精霊とチヲカテトスルモノの祖との繋がりを語り出されては、黙って聞くより他ないからだ。 「人間って、色々と便利な物、作るの好きでしょ、自然界にない物なのに、命を持たない物、ホント、扱いに困っちゃってね」  それで噂好きのかしましい精霊達が誕生したのだと、ヌシは続けた。

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