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内々の秘密に?
「ったくよ」
アスカの誕生は時代に求められたものではない。事実から目を逸らしてみても、胸の奥深くに女の魂を宿しているのでは、否定の言葉も出て来やしない。アスカは男絡みでここにこうして存在していると、仕方なしに認めて、ヌシにもこう答えてやった。
「ホント、いらねぇ話だぜ」
今生において、アスカに課せられた使命は男の魂の解放だ。男も知っているのかどうかはわからない。知っていようがいまいが、結果に変わりがないのであれば、問い質す為に使う時間すら惜しいと感じる。そういった考えに、課せられた使命をなおざりにするせいか、未だ何をどうすればいいのかが判明しない中、頼まれ事ばかりが増えて行く。ついにはヌシと共同で作業する羽目にもなった。
「っうか……」
そもそも男とアルファのクソったれオヤジ二人が頼んで来たことだ。恨めしくてならないが、ヌシの訪問を受けたことで、彼らがひた隠す内々の秘密に触れられた。損はしていない。
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