「けど……」 　内々の秘密にされた内容は、アスカを能力者たらしめるのに必要と言えるものでもある。しかし、人間とモンスターが共存するこの時代には、大して使い道がないとも言えていた。浮遊する魂の浄化一つ出来ないのでは、人間種社会において重宝されるはずがなく、まさに〝落ちこぼれの用なし〟状態となったに違いない。その上で、本来の能力を知られたとすれば、どう扱われていたのか、気にはなった。 　人間の恐怖心を侮ってはならない。そこに欲望が加わったのなら、時代の変化というモンスター達の安寧な暮らしは瓦解する。そうした不安を払拭しようと、精霊とのあいだで約束が交わされた訳だが―――。 「ああ、クソっ」 　アスカにもわかって来た。ヌシの訪問はアスカを思ってのことではない。アルファの願いを叶えたいが為のものだ。まったき闇に落とされた魂の選別がアスカにしか出来ないのでは仕方ないことだが、そこには別の隠された意味もあったのだ。