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男とほぼ同等で?

「野郎がさ……」  アスカの脳裏には男の見目麗しい顔が浮かんでいた。そして釣られるようにして浮かんだアルファの雄々しげな顔とヌシの金ぴかな顔に口元を歪め、むすっとした口調で続けていた。 「肉の塊やクソガキにしてもよ……」  彼らが願って始めたことだ。当然のように状況を察知し、程なく駆け付けるに違いない。 「……だろ?」  アスカは沈黙する精霊達にわざとらしく声を掛けた。返事は元から期待していない。面倒事が片付いて、新たな人生の幕開けが早まるのだ。躊躇いはしないと、その勢いでドアをさっと開けた。  思った通り、玄関ポーチには青年がいた。不意打ちじみたドア開けに驚きつつも、『人間外種対策警備』の入り口近くで見たままの爽やかさを保ち、人好きのする整った顔立ちに優しげな笑みを浮かべて立っていた。アスカと比べてやや高めの身長には嫌みを思わせるが、男とほぼ同等で、アスカと比較しても見上げる程でないことに気持ちを楽にする。

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