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勝ちに行ける?

「因縁……?」  青年には全てがお見通しといったところなのかもしれない。余裕綽々な笑顔に替えてアスカを、青年にすればアスカの胸の奥深くに潜む女の魂となるようだが―――馬鹿にし掛かった。 「君が否定してもね、因果の縁は切れないよ、今の僕には感じ取れてしまうからさ、君の胸の辺りに漂う……それがね」  気付けば、青年は別荘内へと入り込んでいた。一歩一歩、歩きながらアスカを下がらせるようにして話していたのだ。それもアスカにとってはヌシの台詞を信じての引きだった。誘導したとも言えることだが、青年にはわからない。 〝足元、見てみたら?〟  まったき闇の場所について、ヌシにはそう聞かされている。となれば、迷っている暇はない。何が起こるのかを知らされていないとしても、この機会は逃せない。青年は優秀な霊媒ではあるが、アスカと同じで肉体的には人間だ。身長が多少高い程度の体格差なら、拳一つで勝ちに行ける自信がアスカにはあった。

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