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悪行の限りを?
「ふふっ」
青年は悠然とした笑顔と共に頷いた。
「そうだよ、あの方に……」
己の無能ぶりを突き付け、懇願させる。そう続けた青年の思いは、新たな容姿で今世を生きる女と、別人となっても前世を引きずる謀反を起こした家臣とのあいだで、転生のたびに、過去の麗しい姿のままの男を苦しめることにある。
「次はどんな関係になろうかな」
その証拠に、誘うような調子で話をして行った。
「うん、君を恋人にするのはどうだろう?優しくするよ、あの方に嫉妬させたいからね、ただそれが愛情と思えるくらいには痛み付けてやろうかな、今のこの時もだけれど、君を滅茶苦茶にしたとしても、あの方は僕に手が出せない、こんな興奮、他にないからさ」
超絶個人的な嫌らしさではあるが、魂に許される自由意志の範囲を逸脱してはいない。霊媒として優秀であるのを我欲に使うのと大差ない行為だ。悪行の限りを尽くしたとは言えず、アスカのような能力者の出番もないことになる。
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