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厳しくなるのは?
「クソがっ」
とは言ってみたものの、アスカの胸には笑いがあった。この星を守護する精霊の存在が青年には見えていない。精霊は人間に干渉せず、魂の自由意志をも認めている。その上での転生と気付いてもいないのだ。笑えもする。逆に言うのなら、命ある者達が紡ぎ出した事実を記憶するのに適した絶妙な均衡が崩されない限り―――他種族の滅亡や隷属への異様な執念から来る生命の偏りや消滅への企て―――そういった頑迷固陋な行いに傾倒しない限り、精霊は動かないということだ。
「けど……」
自由には責任が伴う。そこは魂においても普遍と言える。夢一杯で立派な心根を捨てて欲に走るのは勝手だが、精霊の記憶には残る。それが何を意味するのか、薄々ではあっても、彼らと通じ合えるアスカにはわかっていた。魂に格の違いが生まれ始める。それが明らかとなった時、格下の魂に代償が払わされるのだ。自由意志の剥奪、そうした転生が厳しくなるのは間違いない。
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