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気も晴れた?
「なら、何故……」
青年にはアスカの勇ましさも愚かしさに映ったのだろう。
「僕の腹を殴ったのかな?」
みぞおちを痛がるようにさすりながら、我が意を得たりとばかりに言い返して来た。
「君は僕という存在に腹が立って仕方ないのさ、君にとっての死そのものを象徴するからね、冷静ではいられない、それ……を」
さらに、わざとらしく言葉を途切らせ、アスカの胸の辺りに目を向けたあとで続きを口にする。
「出さないよう、君が必死なのもね、だけど、というか、だからかな、君は君だけれど、本質はそれに支配されているということだよ」
「……ああ」
青年の言い分に、アスカは逆らわなかった。胸の奥深くに女の魂が潜んでいるのは事実だ。否定するには能力の違いから説明しなくてはならない。そうなると精霊についてまで話すことになり、不都合極まりない。それで無難な方向へと話を逸らした。
「で、言いたいこたぁ言ったんだ、あんたの気も晴れたんじゃねぇの?」
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