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彼らはモンスター?

「いいや」  青年は言いながら首を横に振り、そのあとでおもむろに微笑み、こう言葉を繋いだ。 「あの方がまだ来てくれていないじゃないか」  実際のところ、アスカも青年のその意見に賛同したい気分だった。いの一番に男へと注進するとすればヤヘヱだが、飲んだくれらしく未だ爆睡中のヤヘヱには無理な話だ。青年が現れてのち、沈黙を続ける精霊達にしても同じだろう。男が来ないのを見ると、喋り好きの彼らも騒ぎ立てていないことになる。男の所在は、闇を怖がるアルファにすがり付かれていたのを最後に、不明ということだ。そのアルファにしても、どこをほっつき歩いているのか、僅かな気配さえ感じられない。頼み事をしておきながらと思うと腹立たしくてならないが、そろそろ姿を見せていいはずのヌシも現れないのだ。当然かもしれない。  彼らはモンスターだ。人間が恐怖するのと同等の熱量で、人間とかかわりたがらない。助けを期待するだけ無駄と言えるだろう。

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