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邪魔しちゃ悪い?

「ク……ソっ」  アスカは歯軋りするかのように呟いた。 「たれ……がっ」  こうなっては覚悟するより他ないようだ。何が起こるのかがわからないとしても、アスカ一人で進めて行く。小細工なしに、まったき闇の扉を物理的にこじ開ける。この物理的というのが味噌だ。その意味するままに、アスカはがんがんと片足で床を叩き始めた。そうした突飛な行動に、青年が引き気味に目を丸くしようが気にしない。悠然と微笑まれるより何倍も増しと、さらに苛烈に、腹立ちの全てを込めて何度も床を叩き遣った。 「おらおらおらっ」  そしてミシっと、床板が軋む音が聞こえたその時だ。アスカの思いに応えたように、視界が闇に覆われた。 「遅ぇんだよ!」  瞬時に声を張り上げたアスカの耳に―――というより意識に、美少年に見合ったヌシの明るい笑い声が快活に響く。 「だって、お兄さん」  こまっしゃくれた喋りが、笑い声と共に続いた。 「頑張ってたしさ、邪魔しちゃ悪いと思ってね」

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