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意識を向けて?
「え……っと」
ヌシは声を詰まらせながらも、感服したような口調でこう答えた。
「……だよね」
そして何故か笑うようにして言葉を付け足した。
「お兄さんって、ホント、あの人とは違うな」
「う……ん?」
ヌシにからかわれたことくらいは、アスカにもわかる。しかし、何をからかわれたのかがわからない以上、下手な返しは恥の上塗りになり兼ねない。
「クソがっ」
やはりヌシへの返しはこの一言に尽きた。チヲカテトスルモノといった大層な名称を得ているが、本質はアスカのかしましい精霊達と変わりない。何かというと面白がるところは同質であり、アスカを苛立たせる。そこに嫌みったらしい言い回しが加わるのだから、悪質でもある。だからこそ、精霊達を相手にする時のように聞き流し、決して乗せられてはならないのだ。
「っうか……」
アスカは声音を静め、暗闇の中、まつわり付くヌシの声に意識を向けて、青年について穏やかに問い掛けた。
「あいつ、いんの?」
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